地球系列の文化的特徴は、多様な単一文化にあるといえる。
星系毎に異なる言語、文化と価値観が存在し、普通に考えたらあっという間に分裂してしまいかねない世界を、アンシブル・ネットワークとFCGSが結び付けている。
大半の星系では、人々は二つ以上の文化に、同時に晒されて生きているともいえるが、同時に二つ以上の文化を、素直に別のものとして受け入れ、矛盾を起こさずに生きる術を身に着けているのだともいえる。
地球系列のゲートルートには、他にも大きな特徴がある。
ひとつは、地球時代から連綿と続く、一つの歴史の中で生まれたもので、これは常時、帰還者達によって2600年代の言語、文化、価値観への回帰圧力を受け続けているもの。
しかも、当時の地球人には、多数の不老化人が含まれていたため、文化的には下手をすると2100年代の記憶を保持している者も多く存在し、いうなれば、地球を支配していた枢軸体制が生み出したものとなる。
途中幾度となく発生した絶滅の危機や、数度の停滞期、そして暗黒期を生き延びたとはいえ、というより、そうした危機があったからこそ、地球系列の主要言語は英語と日本語であり、多分に混血が進んでいるとは言え、未だ日系星系には『天皇家』の子孫すら存在しており、実際に『天皇』を政治的な代表(実権の有無はともかく)としている星系すら存在している。
一応地球系列では、途中の停滞期や暗黒期を含む、6000年に及ぶ膨大な歴史の全てを保持しており、自分達こそが地球系列の正統であると自負しているが、実際には、二度目の微細機械群の暴走と混乱、そして大規模な内戦の末に始まった、1000年にも及んだ暗黒期の頃に、一度その歴史を途絶えさせてしまっている。
そこから復活への道を歩む事ができたのは、全面的に帰還者たちがいたからに他ならない。
もうひとつは、大崩壊の後、地球時代の歴史と記憶を失い、新たな世界で、全く別の歴史を生きる事で生み出され、ゲートルートの復活と開発によって、再び地球系列に再統合された『孤児』的な文化である。
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